化粧品OEMで失敗しないブランド立ち上げ戦略
化粧品OEM開発の全体像を初心者向けに論理的に解説。医薬部外品の違いや原料・パッケージ・SNS活用まで、ブランド成功の基礎を網羅します。
化粧品ブランドを“自社流”で立ち上げたい。そんなあなたの想い、まずは正しく動くことが重要です。
OEM(Original Equipment Manufacturer)という選択肢が低リスクに見えて、実は「知らずに踏む落とし穴」が多いのも現実。
本記事では、化粧品OEMの全体像を整理し、医薬部外品との違い、原料・パッケージ設計、SNSによる刈り取り施策まで、経験豊富なマーケティング・製造支援の視点から体系的に解説します。
経験豊富なOEMコンサルタント・開発担当者の知見をベースに、あなたのブランド成功の出発点をクリアにしましょう。
まずは、次の一歩に向けた理解を深めてください。
この記事でわかること
・化粧品OEMの流れとブランド立ち上げのステップ
・医薬部外品と化粧品の違いや製造・法規制の注意点
・原料・パッケージ・サステナビリティ視点の活用法
・リピート率を高めるパッケージ戦略・SNS活用のポイント
この記事のポイント
・OEM参入初心者が押さえるべき「製造+法務+マーケ」の関係構造
・原料・パッケージ選定がブランド価値・継続販促に直結する理由
・SNS時代・SDGs時代におけるOEMブランドの成功モデルとその実践例
製造前に押さえるべき「医薬部外品と化粧品」の違い
化粧品OEMを考える際、まず押さえておきたいのが「医薬部外品」と「化粧品」の法的・実務的な差です。
製品としての訴求力が高い医薬部外品を選びたい気持ちは理解できますが、実はリスクも大きいのです。
法的枠組みと実務的制約
医薬部外品は「有効成分+許可表示」が求められ、許可取得・表示・広告規制などが化粧品より厳しくなります。
あるOEMメーカーの開発担当者は、実際に「有効成分の濃度許容範囲を超えていたため、再試験を余儀なくされた」というエピソードを語っています。とはいえ、化粧品=安心というわけでもありません。
行政チェック・成分安定性・表示ルールなど、注視すべき構成要素は多岐にわたります。
そんな方に伝えたいのは、製造コスト・時間・リスクまで含めて判断する姿勢です。
ブランド選択時の判断軸
ブランド立ち上げを狙うなら、「化粧品」で出発して、反応を見てから医薬部外品化を検討するという戦略も有効です。
実際に小規模サロンブランドでは、最初は化粧品カテゴリーでローンチ、翌年に医薬部外品グレードに切り替えた例があります。
リスクを抑えつつ、ブランド体験を確認できるこの方法は、初心者にとって理にかなっています。
結論として、どちらを選ぶかより、「選択後に守るべき基盤」が整っているかを重視すべきです。
製造現場の“舞台裏”を知ることで分かる成功の鍵
ブランドとして製造を委託するなら、OEM開発の実務を理解しておくことが安心感と判断力につながります。
試作・テクスチャー設計の現場から
例えば、ある美容系ブランドにて「塗った瞬間に肌がふわっと包まれる」テクスチャー設計を依頼したケースがあります。
OEMメーカー側では、数十回に及ぶ試作と感触検証を通し、乳液→クリームの中間レンジに最適化しました。とはいえ、“見た目・香り・肌触り”だけで良しとしないことが重要です。
保管安定性・容器適合性・充填工程を含め、製造現場の制約条件が最終製品に深く影響します。
そんな方に必要なのは、「ブランド体験の思考」だけでなく「製造可能性のリアルな理解」です。
小ロット・スピード対応の重要性
先進D2Cブランドやサロン系において、小ロット生産は“市場反応を早期取得”するための武器です。
実際、あるサロンでは初回3,000個ロットでOEM化し、店頭反応を確認後、翌年の追加発注に至りました。
その経験により、在庫リスク低減・販促調整の速度向上というメリットが生まれています。とはいえ、「小ロット=コスト増」という誤認もあります。
製造単価は高めですが、失敗コスト・在庫ロスを勘案すればトータル合理的な選択といえます。
原料・パッケージ・サステナビリティがブランド価値を左右する
ブランド立ち上げ後の持続成長には、“素材選び”と“容器設計”が重要な差別化ポイントです。
原料選定と調達の視点
天然由来・低刺激・高機能というキーワードは魅力的ですが、実務では「トレーサビリティ」「安定供給」「コストバランス」が欠かせません。
あるOEM開発では、植物エキスが温度・光で変色してしまったため、処方修正を余儀なくされたという事例があります。
これは、「背景(原料の出どころ・供給体制)を見ずに選ぶとリスクになる」ということです。
サステナブルな原料調達ができてこそ、ブランドの信頼性が構築されます。
パッケージ設計とリピート率の関係
パッケージは第一印象だけでなく、「使いやすさ」「開封継続性」「環境対応」といった複合機能を持ちます。
例えば、再生PETボトルを採用したブランドでは、SNS上で「環境配慮型」というポジティブな訴求が増え、口コミが想定以上に広がったという報告もあります。とはいえ、サステナブル容器=売れる近道というわけではありません。
使いやすさや体験性が伴ってこそ、リピートにつながるのです。
パッケージ戦略は単なる装飾ではなく、構造化されたマーケティング資産と捉えるべきです。
新規ブランド立ち上げからSNS活用・刈り取りまでの全体設計
OEMで製品ができた後に、いかにして“売れる仕組み”を作るか。
ここを無視すると、在庫が寝てしまうブランドになってしまいます。
ステップ設計:コンセプト→試作→ローンチ
ブランド立ち上げでは、①コンセプト設計②試作・製造③販促設計③ローンチ④刈り取り・リピート設計、という流れを一貫して捉えることが必要です。
ある事例では、美容サロンが「サロン帰りの肌再生」をテーマに、自社ブランド化粧品を立ち上げ、SNS投稿と体験会を連動させて初期受注を獲得しました。とはいえ、「作るだけ」で満足してしまうブランドも少なくありません。
そんな場合にこそ、SNS投稿→体験会→レビュー→リピート動線という刈り取り設計を持ち込むことを勧めます。
リピート率を高める仕組み設計
リピート率を上げるためには、製品力だけでなく“継続使いやすさ”と“ブランド体験”が重要です。
例えば、パッケージにミニサイズを用意して“試し→継続”のハードルを下げたブランドがあります。
また、SNSでのフォロワーとの関係性を築き、「次回予告」「限定先行販売」「リフィル対応」という仕組みを持つことで継続消費を促しています。とはいえ、リピート設計がないままローンチすると“初回だけ買って離脱”という典型的な失敗を招きます。
計画的な仕組み構築がブランド寿命を左右します。
OEMパートナー選びと成功条件:何を基準にするか
製造委託先(OEMパートナー)は、ブランドの成功を左右するキーパートナーです。
慎重に選ばないと“作って終わり”になってしまいます。
選定時のチェックポイント
パートナー選定では以下の基準が重要です:
・薬事対応・表示対応の体制があるか
・小ロット・試作対応が柔軟か
・原料・パッケージの提案力があるか
・社内にマーケ・販促視点があるか
実際に、信頼性の高いOEM企業では「宣伝を一切せず/製品力で勝負」するという姿勢を貫えており、長年のパートナーとの関係構築がブランド価値を支えています。
そんな方にとって、“製造だけ依頼”ではなく“ブランド成長まで伴走”できる”OEM”パートナーを選ぶことが成功への分岐点です。
契約前に押さえるべき約束事
・ロット数・納期・価格・追加発注条件を明確に
・成分変更・処方変更の可否を確認
・安定性試験・保存試験の結果報告を受ける
・パッケージ再注文・廃番時の対応を確認
これらを曖昧にして進むと、後々のリニューアル・在庫ロス・対応コストでブランドが痛むことになります。
契約段階で“未来のトラブル”を潰しておくことが、賢いブランド立ち上げ術です。
まとめ
・化粧品OEMブランド立ち上げには「法務・製造・マーケ」の3軸の理解が不可欠。
・原料・パッケージ・リピート設計といった“立って継続する”構造を始めから作ることが、長期的なブランド価値を生む。
・OEMパートナー選びは、「作ってくれる会社」ではなく「ブランドを共に育てる会社」であるかが鍵。
自社ブランドに取り組むなら、まずは理解を深め、判断基準を整え、パートナーと“伴走”体制を築く一歩を踏み出してください。
【FAQ1】
Q:OEMブランドを少ないロットで始めても大丈夫ですか?
A:はい。実際に小ロットで市場反応を確認し、次発注へ繋げたブランドが多くあります。無駄な在庫リスクを回避できる点では合理的な戦略です。
【FAQ2】
Q:原料が天然由来=安心というのは本当ですか?
A:天然由来が“必ず安全”というわけではありません。実際に植物エキスが温度・光で変色し、製品トラブルになった例もあります。原料の背景・調達体制・安定供給を含めて判断すべきです。
【著者】
佐々木千草
【著者プロフィール】
職種:化粧品企画開発
経験年数:7年
化粧品業界にて7年間、スキンケア・メイクアップ・ヘアケア商品の企画開発に従事。市場・競合調査からコンセプト立案、容器・パッケージ資材の仕様選定及びデザイン立案、発注業務、販促支援まで一貫して担当。お客様目線と戦略的な視点を掛け合わせた商品づくりに努め、敏感肌・エイジングケア・機能性コスメなど幅広いカテゴリーに対応可能。
【監修】
小平 麻貴
【役職/専門領域】
商品開発部 部長
化粧品製造業・化粧品製造販売業 総括製造販売責任者